こんにちは、ドイツ・デュースブルク在住のUmineko1848です。
前編の「中世の美しさそのまま!「スロバキアのローマ」ことトルナヴァを歩く」では、西部の文化都市トルナヴァが誇る教会とオシャレなカフェをご紹介しました。
今回は、スロバキアのお城について。
さて、みなさんはヨーロッパで有名なお城と言えば、何を挙げますか。
たとえば、ドイツのノイシュバンシュタイン城。
確かに知名度の高い城です。
ディズニーの『眠れる森の美女』に出てくるお城は、これをモデルにしていると言われています。
私は同じドイツに住んでいるにもかかわらず、ノイシュバンシュタインは訪れたことがないのですが、ただ写真を見る限り、どうも行く気になれません。
何というか、わざとらしいのです。
実際にこの目で見たらとてもきれいなんでしょうが、鉄骨コンクリート造りで、けばけばしい。
私はもっと渋いお城のほうが好きです。
そして、見つけました。
2018年夏に訪れたスロバキアには、慎ましやかで味わい深い私好みの城がたくさん!
そのうえ、街によってそれぞれ特徴が違います。
今日は実際に訪れたお城を三つ選りすぐってお届けしたいと思います。
トポリュチャニ城
【原語名】
Topoľčiansky hrad
【住所】
955 01 Podhradie
【見学方法】
見学無料。平日・週末・祝日ともに10時から17時まで。荒天時および冬季(11-12月, 1-2月)は閉鎖。
このお城にたどり着くのは、容易ではありません。
首都ブラチスラバから車で2時間ほどかかります。
ピエシチャニで高速道路を下りてからカーナビの指示に従い、Podhradieという町(村?)に向かいます。
城のふもとまでたどり着きあと少しというところで、車両進入禁止の標識。
車を下りて未舗装の道をひたすら登ります。
すると突如、城は姿を現します。
写真からもわかる通り、トポリュチャニ城は城跡のみを残し、現在は遺跡となっています。
13世紀ごろに建てられたと思しきこの城は、1235年、文献に初めて登場します。
最初は貴族が所有していたようですが、15世紀にはトルコ人からの侵攻を防ぐために城塞として使用されました。
18世紀に起こったラーコーツィの独立戦争により荒廃。
現在そのままの形で残されています。
城壁に囲まれた内部は一部改修され、コンサートホールとして使用できるようになっています。
修繕の手が入っているとは思いますが、建造から数百年を経て朽ち行く姿に時の無常を感じます。
スモレニツェ城
【原語名】
Smolenický zámok
【住所】
Zámocká 1/18, 919 04 Smolenice
【見学方法】
城内ツアーのみ。10-18時まで毎時間行われる。大人2€、学生1€。スロバキア語のみだが、受付で頼めば無料で英語等のハンドアウトがもらえる。
二つ目のスモレニツェ城は、ブラチスラバから車で約1時間10分。
駐車場から歩いていくと前方に芝生が広がり、その向こうにお城がだんだんと見えてきます。
スモレニツェの築城は15世紀。トポリュチャニ城と同様ラーコーツィの独立戦争、そしてナポレオン戦争で破壊されました。
20世紀になって再建。工事に当たってはイタリア、ドイツ、オーストリアの職人、また60人近くの地元スモレニツェ、および近郊の村の作業員が参加しました。
再び第二次大戦で荒廃したものの、その後何度か修理を経て現在の姿になったそうです。
ちなみに、ちょうど私が訪れた時、このお城で結婚式が行われていました。
こんなところで式が挙げられるなんて、素敵ですね。
チェルベニー・カメン城
【原語名】
Hrad Červený Kameň
【住所】
900 89 Častá-Červený Kameň
【見学方法】
城内ツアーのみ。75分のロングツアー(8€)と60分のショートツアー(7€)がある。スロバキア語のツアーに参加する場合は、受付で頼めば無料で英語等のハンドアウトがもらえる。城内での写真撮影は追加2€。英語等によるツアーもあるが、料金や時間は事前確認のこと。
こちらはブラチスラバから北東に32km、車で1時間10分ほどのところにあります。
とても大きいお城のため、全体像を写真に収めることができなかったのですが、小高い丘のようなところに建っていて、居館の下部は石垣になっています。
石造りの橋を渡っていざ入城。
中庭は広く、中央に噴水が設置されています。
そしてなんと芝生の中で孔雀が放し飼い。
生垣を乗り越え、悠々と歩いていました。
現在では鳥を放し飼いにするほど穏やかなチェルベニー・カメン城ですが、元は13世紀にハンガリー王国の守備防衛を担う要塞として築かれました。
16世紀の初めに改築され、その後火事によって損傷を受けますが、その都度修復を重ね、今日まで存在しつづけています。
私はこの日、見学ツアーに参加。
内部は歴代の城主たちが収集した調度品や骨董品が豪華絢爛の広間に展示されていて、その歴史の一端を知ることができます。
後半は、階段を降りて地下へ。
本章の最初に示した、ちょうど石垣の部分です。
そこは地下にあるとは思えないほど広い世界が広がっていました。
ここはかつて食料保存庫兼監獄だったそうで、白い石壁と外から差す光が神秘的な雰囲気を醸し出しています。
ガイドさんによると、ときどき映画の撮影に使われるとのことです。
まとめ
破壊、可憐、神秘。様々なキーワードを持つ見事なお城でした。
日本語のガイドブックにもまず載っていない隠れた観光地ですが、見ごたえは十分です。
ところで、この三つ以外に、実はもう一つ紹介したいお城があります。
これはスロバキアの城を語るうえで、決して欠かせない重要なところ。
この城のキーワードを挙げるとすれば、「無慈悲」。
哀れみも慈しみもない無慈悲な城です。
次回「実録レポート!血の伯爵夫人が暮らしたスロバキアのチェイテ城と管理人が語る”証言”」をお楽しみに。