日本では、鉄道も、バスも時刻表が有り、それに従って、運行されています。
しかもその正確度は絶対世界一だと思います。
ところで、マレーシアの公共交通機関はバス、鉄道(LRT,MRT)、モノレール、それとKTM。他にはタクシーと『Grab Car』が有ります。
それらの状況はどうなっているのでしょうか?
タクシーとGrab Carは乗り場に、車を呼んで乗り込む訳ですから、当然時刻表は有りません。
では、それ以外の乗り物には時刻表は有るのでしょうか?
確かにKTMには時刻表らしきものは有りますが、その他の乗り物、バス、LRT、MRT、モノレールには時刻表なんて有りません。
大雑把に言えば『マレーシアの交通機関は時刻通りには来ない!ではなく、もともと決められた時刻そのものがない』のです。
(1) バス?この究極のマレーシア精神のたまもの
↑ ↑ ↑ バスの市内の終点の例
通常はLRTの駅を出て駅に戻ってくる循環型、LRTの駅から市内の終点との間を往復するタイプ、それとLRTの駅と他のLRTの駅との間を往復するタイプです。
観察していると、そこそこお客が乗るまで発車しない様ですが、よく分かりません。
まず、日本人でバスを利用している人に会ったことがありませんし、賃貸住宅を世話してくれる不動産屋に聞いても、「バスはやめた方がいい」で、終わりです。
↑ ↑ ↑ 途中のバス停
自宅のコンドの周囲をあらためて探してみたら、バス乗り場らしきものが有りました。
もちろん、車で道路を走っていても、バスに会うのはまれだし、乗っている乗客もパラパラです。
何時来るか分からないバスを、バス停らしき所で待って、其れで用が足りる人は典型的なマレーシア生活をする究極のマレーシア人だと思います。
(2) モノレール?マレーシア最大の大人のオモチャ
↑ ↑ ↑ KLIA(クアラルンプール国際空港)へ行くKL
Expressの始発駅、KL SENTRAL駅とクアラルンプール最大の繁華街、ブキビンタンを経由して市内北部のTITIWANGSA駅とをU字型に結ぶ跨座式(こざしき)モノレールです。
二両編成と四両編成が走っています。
これは時刻のない交通機関です。
電光掲示板には時刻と「ホームから下がってください」の表示だけ。
いつ来るかまったくわかりません。今回は10分程で来ました。とは言っても、これが早いのかはたまた遅れているのかは見当が付きません。
おまけに、この列車に乗り遅れると、次の列車はいつ来るかまったくわかりません。
10分間隔くらいでとは言われていますが、その保証はなく、30~40分後なんていうのは当たり前です。
通勤時間でも同様ですから、朝8:30~9:30位は「超満員」です。
車両のスピードは遅く、時刻も不正確、しかも、運転手はマレー系マレーシア人がほとんど100%で時間にルーズ、適当、しかもたとえ遅れても絶対焦らない。
従って、ただただ物珍しいだけなので、個人的には「モノレールはマレーシア最大の大人のオモチャ」と言っています。
しかも、中国製なので、中国新幹線と同様に兎に角、劣化が激しいです。車内のヘタリ、故障が始終です。
なお、運賃はKL SENTRALからブキビンタン駅迄で5RM(¥135)位だったと思います。
蛇足ですが、社内には飲食禁止などの表示のほかに『男女イチャイチャ禁止』?のステッカーがあります。LRT車内にもよくあります。やはり、ムスリムの国です!
(3) LRT/MRT この2系統はクアラルンプールで一番安心・安全・便利な交通機関
↑ ↑ ↑ アンパンライン(有人運転)
↑ ↑ ↑ ケラナジャヤライン
↑ ↑ ↑ MRT(2017年末開通)
LRT(Light Rail Transit)、MRT(Mass Rapid Transit)です。
LRTでもアンパンラインのみが乗務員による運転ですが、それ以外のケラナジャヤラインとMRTは全て、コンピューター制御の完全自動運転です。
この三年間で運転停止が有ったのは一、二回のみ。 マレーシア在住の日本人に言わせれば、マレー系のマレーシア人が運転していないから、安心・安全・正確な電車なのだと言う事です。
LRT,MRT共に日中は6~8分間隔、通勤ピーク時で4分間隔。朝6:00~夜23:30まで走っています。料金は余程遠距離を乗らない限り、3~4RM(¥120)位でしょう。
↑ ↑ ↑ 次に到着する車両の編成数
↑ ↑ ↑ 到着までの時間
各駅の電光掲示板には、何分後に列車が来るかの表示と、何両編成(2or4)を示す表示が出ますが、きわめて正確で、安心できます。
尚、アンパンラインの電光掲示板はモノレール同様「時刻と白線の後ろにお下がりください」の表示のみです。
参考に路線図を添付しますが、もはや途上国などとは言わせない規模です。
この路線図には、モノレール(No8)も含まれています。それと、余談ですが、料金の支払いはもっぱらMyrapid(Touch’n Go)カードを使っています。
日本のパスモやスイカと同じですが、すごいのはこれで高速道路の料金も支払えます。
(4) マレーシアで唯一時刻表が有るけどほとんど無視のKTM
※1列車7両編成で、中間3両は常時女性専用車です。
マレーシアにはKTMと呼ばれる鉄道が有ります。
KTMとはマレーシア鉄道公社のマレー語の頭文字を取った名前です。
日本で言えば、旧国鉄で、都内の山手線みたいな鉄道です。
車両は清潔ですが、とにかく時刻はいい加減です。
基本は30分に一本位ですが、それでも、5分、10分の遅れは当たり前、ひどい時には30分~1時間遅れます。
↑ ↑ ↑ KTM入口の時刻表
日本人会の有る、ミッドバレー駅に鉄道で行くには必ず、このKTMを使わざるを得ません。
自宅からはLRTのケラナジャヤラインで順調にKLセントラル駅に到着しても、このKLセントラル駅⇋ミッドバレー駅間のたった一駅で全ての時間が狂います。
電光掲示板の時刻は「予定時刻であって決まった時刻でない!いつでも自由に変わります♪」がKTMのキャッチフレーズではないかと疑ってしまいます。
こんな時、ああ~日本の鉄道はいいな~と実感します。
ちなみに、先程のラピッドカードで乗車可能です。
↑ ↑ ↑ ※ホームの時刻表です。始終変わります
(5) TAXI運転手も配車登録する『Grab Car』とにかく便利です。
↑ ↑ ↑ ※LRTの駅で待機するタクシー
タクシーは何処でも流しのタクシーを拾えて便利ですが、其れとは裏腹に危険も潜んでいます。
一度ニュースになったのですが、フランス人観光客が、流しのタクシーを拾って、近距離を移動したところ3000RM(¥81,000)をゆすり取られたと言う事です。
この旅行客はタクシーのNo.を警察に通知して、結果的には返金されたと言う事です。
ですから、地元の人以外は、ホテル、ショッピングモール、LRTの駅等で待機しているタクシーを使うのが安心です。
初乗り3RM(¥81)、以後数百㍍当たり0.25RM(¥7)だったと思います。
タクシーメーターを使っているかを必ず確認し、使っていなければ要求すべきです。
文句を言ってきたらすぐ降りた方が安全です。
特にKLセントラル駅など外国人観光客の多い駅では、チケットブースで「行先」を伝え、乗車料金を払い「クーポン」を貰ってタクシーに乗り、運転手に渡します。
ですから追加の支払いや過剰請求は有りません。でも、タクシーの便利さ半減です。
もう一つの便利な移動手段が、Grab Carです。このシステムはシンガポール発で、日本でも有名なウーバとほとんど同じです。
マレーシアでは最初にGrab Carがスタート。
その後ウーバが参入しましたが、結局撤退。今はGrab Carのみです。
このシステムとにかく便利で、利用してみると日本のタクシー事情がいかに前近代的で、タクシー業界の既得権益保護なのかわかります。
マレーシアと日本、どちらが先進国なのか考えさせられます。
使い方は、Grab Carの呼び出しソフトをスマートフォーンにインストールするだけ。
この呼び出し画面に自分の現在位置と行先の名称を入力し発信。
そうすると、行ってもいいよと言う運転手から料金が提示され、OKすると車種(例トヨタビオス)、車のナンバー、「あと何分でつくよ」と言った到着予定時刻がオンタイムで表示されます。料金は通常タクシーの20%~50%安値です。
一番びっくりしたのは、有るときGrab Carを呼んだら、タクシーだったことがあります。
もちろんメーターは使用しませんが、タクシードライバーにはそういう人もいると言う事です。
支払いは現金で可能ですし、事前に登録しておけばクレジットカードで自動引き落としされるのでキャッシュレスで乗る事も出来ますが、あまりお勧めしません。
それと短距離、例えば自宅コンドとLRTの駅とがタクシーで5RM位だと、Grab Carは10RM位です。近距離は止めた方が良いです。
まとめ
・バスやモノレール、KTMを使わない限りは左程不便は感じない。
・タクシーは「流し」を捕まえないのが鉄則です。それさえ守っていればおおよそ心配はない。
・LRT,MRTそしてGrab Carを利用するなら、日本にいるときとほとんど変わらない感覚で生活できます。
・マレーシアはもう既に中進国です。アジアだから不便だ!という既成概念は止めましょう。LRTやGrab Carのように日本より進んでいる部分もかなりあります。
以前、久々日本に帰って、JR線に乗りました。電車は規則正しく動いているし、車内もキレイです。
でも、何か違うんです!?そして大きな違いを見付けました。日本人からは何か、不安感と言うか、不満感というか、ギスギスした感じが伝わってきます。
さむざむしい気分になってしまいます。その一方で、 マレーシアに帰ったときには、テキトーでいい加減で、イライラする事もありますが、マレーシア人は皆、何かほわ!とした心の広さ(と言うか心からのやさしさ)を感じて安心してしまいます。(笑)
私はマレーシアに移住して正解でした。